記憶
「・・・・・なんで、お互い気づかないかなあ。」
ポツリとキラがそう漏らした。
「「は?」」
唐突なキラの発言に、彼と一緒に食事をしていたディアッカとサイがぽかんとした顔を浮かべる。
そして目を合わせた後、キラの視線を追うと、その先には、アスランとカガリが食事をしながら談笑している。
「・・・あー。」
「あの二人か。」
と、二人とも妙に納得、というようにうなづいた。
「アスランって、女の子と積極的に話すほうじゃないというか、どっちかと言うと
苦手なのに、カガリに対してだけは違うんだよね。」
キラの記憶ではアスランは、口下手で、女の子は苦手だったのにも関わらず、昔から女の子たちに人気があった。
でも彼自身はそんな女の子たちのさりげないアピールにも気づかない為、玉砕していく少女たちは数知れず。
ディアッカも同意するように、うんうんとうなづいた。
「あー、そういえばそうだな。アカデミーでも女どもが騒いでたし、結構言い寄ってくるのもいるのに、
興味ありませんというか、気づかない、ってしょっちゅうだったぜ。」
「そうなのか?ああ!確かこの間、あのクサナギの女の子三人にカガリのことで質問攻めにあって、
うやむやに答えてたら三人から詰め寄られて、たじたじになってたっけ、アスラン。」
二人の意見を聞いていたサイも、自分の見たことを話すと、なるほどそういうわけか、とつぶやいた。
「カガリだって、素直でさっぱりした性格のせいか、性別を感じさせないというか男っぽいじゃない?
でもアスランに対してだけは、たまに頬を染めたりとか女の子らしいところが出たりするんだ。」
さり気にカガリが聞いたら憤慨し,、下手をすれば殴られそうな失礼なことをのたまうキラ。
それにはあえてディアッカとサイは突っ込まなかった。
「明らかに他の人に対する態度と違ってて、いつでも二人ともお互い気にかけてるのに
自分の気持ちにすら気づいてないのが不思議だよ。」
「・・・・・気づけばいいのにとか言いながら、なんかすごく複雑そうな顔してるぞ、キラ。」
ため息をつくキラのほうを見ながら、ふとサイがなにか気づいたようにそう言った。
「・・・ちょっとね。」
キラはあいまいにごまかした。
さっさと気づけばいいのに、と思うのは裏腹に複雑な気持ちもあるのも事実で。
最近知ったとばかりとはいえ、大事な双子の妹を他の男に取られるのは癪なのだ。
(まあ、どこぞの馬の骨よりは、アスランのほうがまだましだけどさ。)
あとがき
SEED時代、キラから見たアスカガ。
キラがちょっとひどいこと言ってますが(笑)
最近、SEED系のお話はカップルが絡む(?)話ではなく、
他キャラから見た話ばかり浮かびます。
しかし、キラはシスコンの片鱗が・・・。
管理人設定ではキラはシスコンです。