困惑と自覚
注意!
・リヒャハヅ
・少しアダルティな雰囲気
・もしかしたら裏行き寸前(心持ちR-12?)
・リヒャルトが黒っぽい(つーか黒い?重苦しい?)
・二人とも別人度MAX
最近、誰かの視線を感じるようになった。
戦闘の時。
二ケアとしゃべっているとき。
ベルクートに再戦を申し込んでいるときなど。
見られているのに気づき、振り返るといつもそこには同じ瞳があった。
その瞳を見るたび、なぜかもやもやとした気持ちにいつも襲われた。
見つめられるのに耐えられなくて、
リヒャルトをなんとなく避けるようになってから数日後。
部屋に入ろうとしたとき、ちょうどリヒャルトと鉢合わせした。
どくん、と胸が鳴った。
なかなか彼に対する自分の気持ちに整理がつかず、さりげに避け続けてはいた為、
ハヅキは気まずいような落ち着かない思いでいっぱいになった。
前までは普通にしゃべったり、戦闘のことで話し合ったりしていたのに、
そんな当たり前のことすらできなくなった自分がわからなかったからだ。
あいかわらず、彼は真っ直ぐにハヅキを見つめていたが、
ハヅキは心の動揺を悟られないように、無表情を貫いた。
「ハヅキさん、」
沈黙が少し続いたが、その沈黙を破ったのはリヒャルトだった。
「・・・すまない。今、ちょっと気分が優れないのだ。話なら今度聞く。」
話しかけようとする彼の言葉を、さりげなさを装ってさえぎるとすばやくドアの取っ手へと手をかけて
部屋に入りドアを閉めようとする。
その瞬間、伸びてきた手が、ドン!、激しい音を立ててドアを叩き付けてきた。
ハヅキは一瞬びくりとしたが、すぐに我に返り、力を込めてドアを閉めようとする。
だが、彼女の力よりも彼の力は強く。
リヒャルトは大きくなったドアの隙間に身体をねじりこませるようにして、部屋の中へと入ってきた。
「な・・・!」
彼の手でドアがバタンと閉められる。
「リヒャルト!?」
ハヅキは彼の強引な行動に抗議の声をあげた。
だがリヒャルトはハヅキの言葉には答えず、部屋からも出て行こうとはしない。
しかも彼女に背を向けた格好となっている為、リヒャルトの表情は見えなった。
沈黙が続いた後、まず口を開いたのはハヅキに背を向けたままのリヒャルトだった。
「・・・・ハヅキさんさ、最近、僕のこと避けてるよね。」
ギクリとした。
「そ・・・、そんなことは・・・。」
「避けてるよね?」
おかしいと思った。あまりにも彼らしくない。
執拗に答えを求めてくる。
いつもならこんなに追及はしてこないはずだ。
「違う・・・。」
「避けてるよ。」
「避けてなどいない!」
思わず大声で叫んでしまってからしまった、と右手で口を覆う。
同時に背を向けていたリヒャルトが、振り返った。
「・・・じゃあ、最近、話をしていても目を合わせないのはなぜ?」
その声はいつもの声より、押し殺したように低く。
その瞳には、視線を感じたときに見えたまっすぐな光も、いつもの温和な性格から出るような
柔らかな光も浮かんでおらず。
暗く熱をはらんだようなそんな光を浮かべていた。
ゾクリ。
背中から何かが這い上がってくるような感じがした。
その瞳に射竦められる。目を逸らせない。
「戦闘メンバーに入るときも、僕がメンバーに入っていない時だけ。」
ハヅキは一流の剣士だ。
敵の殺気も、試合や訓練をするときの相手の突き刺さるような視線も真っ向から受け止めて、
緊張はすれど、怖いとは思わなかった。
「メンバーに入ってたとしても、協力攻撃はしようとしない。」
でもどうしてだろう。
「食事の時間も克ちあわないようにしてる。」
今自分は彼が怖いと思った。ハヅキの中の何かの本能が警告を告げていた。
危険だ―――、と。
カチャリ。
何かの金属音が耳に入った瞬間、ハヅキはビクリと身を震わせた。
リヒャルトが後ろ手でドアの鍵を閉めたことに気づいたからだ。
次の瞬間、リヒャルトは一歩踏み出してきたと思ったら、ゆっくりと、ハヅキのところへと歩いてきた。
ハヅキも得たいの知れない恐れを感じて、彼が近づくたび一歩下がっていく。
「そこまでされて、避けられてるって気づかないほど僕は馬鹿じゃない!」
そんな悲しげな叫びの後、勢いよく肩をつかまれ、壁に押し付けられて唇を塞がれた。
ハヅキが目を見開くと同時に、唇が離れる。
目の前には苦しさや悲しさ、いろいろな感情を必死にこらえているようなリヒャルトの顔が見えた。
誰なのだろう。目の前のこの男は。
こんな人は知らない。こんなリヒャルトなんて知らなかった。
そんな思考が頭を埋め尽くす前に、今度は荒々しく唇を奪われた。
激しく口付けられて、息が詰まる。あまりの苦しさに、空気を少しでも取り込もうと、口を少し開けば、
彼の舌が唇をこじ開け、口腔内に入ってきて、自分のそれを絡みとる。
彼が与える熱に浮かされながら、ハヅキは気づいた。
そうだったのだ。
彼の瞳でみて落ち着かない気持ちに襲われたのも、彼が怖いと思ったのも。
これ以上、心に入られるのが、惹かれるのが怖かったのだ。
そして初めて感じる家族ではなく、他人を愛そうとする自分の気持ちに戸惑っていたのだと。
FIN
※ごめんなさい、ごめんなさい!
1年半ぐらい前に、あるサイト様での小説を見て、かなりリヒャハヅハマってしまい、
突発でBlogにてUPした小話です。
なにやら妄想が危険な方向に行ってしまい、裏行き寸前のものになってしまった・・・!
しかも未プレイなのにも関わらず、書いてしまった私って・・・!
しかも、多少加筆修正してます。妄想の局地・・・・!
2006.11.13 BlogにてUP(2008.08.03 加筆修正)