アルバム
「あ。」
「どうしたの、?」
技術書を数冊持って中身を確かめていたが食堂の入り口で急に立ち止まり、
数歩先を歩いていたミリアリアが振り返る。
「・・・・間違えてアルバム持って来ちゃった。」
はミリアリアと目が合うとペロっと舌を出して照れ笑いを浮かべた。
「・・・・なんでアルバムがここにあるの・・・・?」
ここは戦艦である。なぜアルバム?あまりにも不釣合いだ。
そのミリアリアの疑問はの言葉によって解決した。
「あはは。オーブでアークエンジェルに乗り込むときかなり慌ててたから、間違えて持ってきちゃった見たい///。」
「へんなとこでそそっかしいのね。普段はまめなのに。」
頬をぽりぽりとかきながら、照れくさそうに話すにミリアリアは苦笑を浮かべる。
「ごめん、ちょっとこれ置いて・・・・。」
そしてがミリアリアにもう一度部屋に戻ることを伝えようとしたとき――――――、
「おーい、ミリィ!二人ともそんなとこに突っ立ってないでこっちにこいよ。」
二人に声がかけられる。よく知っている声に振り向くと案の定カガリがこちらに向かって手を振っている。
彼女の周りにはラクスやサイ、ディアッカがいた。
ラクスはにっこりと微笑み、サイは手を上げて、ディアッカは腕組みをして笑顔を浮かべて二人を見ている。
この面子で一緒のテーブルにつき、食事をしている光景はめずらしい。
サイとミリアリアは同じCICの担当なので、休憩時間が重なるのは少ない。
ディアッカもほとんどといって良いほどモビルスーツの格納庫にいる。
ラクス、カガリにいたってはそれぞれエターナルとクサナギが自艦となっている。
呼んでくれているのになんの挨拶もなしに行くのが気が引ける。
はミリアリアと目を合わせると肩を竦ませてカガリたちのところへ向かった。
「申し訳ないけど、席とっといてくれないかな?ちょっとこれ部屋に置いてきたいんだけど・・・。」
カガリたちに部屋に戻ることを伝えて、席の確保を頼むとはごめんと謝った。
「・・・・アルバム?」
の手にあるものがなにか気づいたサイが尋ねてくる。
はこっくりとうなづいた。
「うん、叔母様たちとか父と写ってるのもあるし、キラとアスランと写ってるのもあるの。きゃ!?」
の口からキラとアスランの名前が出たとき、ラクスとカガリがぴくりと肩を揺らしたと思ったら
二人にガッシと両肩を掴まれていた。二人の目が好奇心でキラキラと輝いている。
「それ、見せてくださいませ!(見せてくれ!)」
二人の勢いに押されてはこくこくと首を縦に振るしかできなかった。
十数分後、食事を済ませるとみんなで囲みながらアルバムのページを開く。
まだ6歳くらいの。父親に抱かれにこにこと微笑んでいる写真。
アスランとキラを砂遊びをしている写真。やアスランやキラがひとりずつ写っているものもあれば、
キラと写っているもの、アスランと写っているもの。
学校の入学式だろうか、制服を着て並んでうつっているものも
あった。
「こんときゃまだアスランも可愛げがあったんだなー。
いっつも仏頂面してるか、自分は何もかもわかってます模範生みたいな顔してるかしか
知らねーよ、おれ。ま、だいぶ最近表情豊かになってきたみたいだけど。」
ディアッカは心底驚いて目を丸くしている。そして意味ありげにちらりとカガリのほうを見た。
「そうなのか?」
「ほんと、ほんと。」
サイが尋ねるとディアッカは苦笑いを浮かべる。
ディアッカの言葉を横で聞いていたは、相変わらず人付き合いが不器用だったのねえと
弟のように思っている幼馴染に心の中で苦笑する。
キラは手先は不器用だが、社交性はいい。
それとは逆に手先は器用だが、社交性についてはほとんどだめなアスラン。
共通点はそうと決めたらテコでもそこから動かない頑固なところのみ。
それはそれでバランスは取れているのかもしれない。
「・・・・でもねアスランて結構負けず嫌いなのよあれで。」
がくすりと笑って言うと、ディアッカは目を丸くしての方を向いた。
「うそだろ、あいつイザークに勝負事で負けたとき・・・・」
「にっこり笑って『俺の負けだよ、イザーク』とか言ってあっさり負けを認めてたでしょ?多分。」
ディアッカの言葉のあとを引き継いでにこにこと笑いながら言うにあっけに採られた顔をして肩を竦めた。
「・・・・正解。、どうしてわかった?」
「伊達に幼馴染やってるわけじゃないのよ?多分そのあと、人がいないところで
すっごく悔しがってたでしょうね。しかも物に当たって。」
にはそのときの様子が手に取るように判ったのだろう、くすくすと笑う。
さすが、幼馴染。
キラとアスランがにはあまり逆らえない理由は、彼女が彼らの弱点を確実に知っているからだろう。
それをこの場にいる全員が即座に理解した。
「それに少し嫉妬深いかもね。・・・大変ね、カガリも。」
「//////っっっっっっっっ!なんで私に振るんだよ!」
その言葉にカガリが勢いよく立ち上がる。
うまく言葉がでないのだろう、顔を真っ赤にさせて口をパクパクと動かしている。
彼女はその慌てて弁解する姿が、自分の気持ちをみなにバラしてしまっているのに気づいていない。
口ではなんだかんだと言いながら、アスランとカガリが
互いに惹かれあっているということはもみなもわかっていた。
「あの、。これはのお友達ですか?」
アルバムのページをめくっていたラクスが一枚の写真を指で示す。
それは7,8歳ぐらいの三人の女の子が並んで写っている写真。真ん中に写っているのはだ。
「ああ、これはね・・・・。」
「にぎやかだねえ。」
「ムウさん!?」
ラクスに尋ねられて答えようとしたの言葉をさえぎり、ひょいっと覗き込むのはムウ・ラ・フラガだ。
「おっさん。マードックのおっさんの所に行ってたんじゃなかったのか!?」
ゴン!!
「いってぇ!!なにすんだよ!」
「おっさんじゃない!もう少し年長者を敬え!」
「だからってなぁ、殴ることねえじゃねえか!」
「お前が言ってもわからないからだろうが!」
「・・・・・バカ・・・・。」
ぎゃいぎゃいとムウと言い争うディアッカを、ミリアリアが横目で呆れたように見てため息をついた。
とサイ、カガリも顔を見合わせてこまったように笑う。
「で、いったいを見てたんだ?」
ディアッカをあしらってムウが再度覗き込んでくる。
はにっこりと笑うと、
「あ、私のアルバムですよ。」
と、答えた。
「へえ、初々しいねえ。キラとアスランも写ってるじゃないか。しかしキラも童顔なのは変わらんねえ。」
キラに対してすごく失礼なことを言いながら、ムウはしげしげとアルバムをみる。
するとある一枚の写真を見た瞬間、じっとその写真を見つめたままなにか考えるような顔になった。
ムウが見つめているのは先ほどラクスがに尋ねた写真。
ややあってから、ムウの肩が震えだした。はがどうしたのかと顔を覗き込んだ瞬間―――――。
「・・・・ぶっ、わっはははは!!」
急に大声で笑い出したムウをきょとんとして見る元々天然の気のある、ラクス以外は、彼からざっと離れた。
そんなみなの様子をよそに、ムウはくっくっと、お腹を押さえて笑っている。笑いがなかなか収まらないようだ。
「くくくく。あ〜、おかしい。・・・なんでお前らそんな離れてんだ?」
笑いの発作が少しおさまると、離れたところにいるサイとミリアリア、ディアッカ、カガリを見やって言った。
いえ、あなたが急に笑い出したから、気が触れたかと思ってひいてしまったんです。と四人は言えず、
ははは・・・とこまった笑顔を浮かべごまかした。
そんな四人の様子にムウは首をかしげながら、
を見るとまだおかしいのか笑いながら
「、こ、これって真ん中がお前だろ?そしてこのお前の両横にいるのって、くくっ、キラとアスランじゃないか?」
まだ笑いが収まらないのか一生懸命笑いをこらえて、その原因となった写真を指差し、衝撃的(笑)なことを口にした。
「はいvそうです。ムウさんよくわかりましたね?」
はこくりとうなづくとふんわりと笑みを浮かべた。
「「「「え―――――――――――――――――――っ!!!?」」」」
「あらあら、まあまあ。」
からのほほんと知らされた事実に四人は叫んだ。
驚いたような顔をしながらもマイペースにおっとりと冷静に言うのはラクスのみ。
確かによく見ると写真の他の二人の少女は彼らの瞳と髪の色が同じである。
(アスランが女装・・・・ぷぷっ、違和感ねぇ・・・!)
(キ、キラが・・・。ぶっ。)
(ぷっ。に、似合いすぎだわ・・・・。)
(私が同じ年のころより似合ってるじゃないか!でもあのアスランが・・・ふふっ!)
(本当に三人とも可愛らしいですわね〜♪)
一人的外れなことを考えている者もいたが、他の四人プラスムウは笑いをこらえるのに必死だった。
はにこにこと嬉しそうに笑っている。
そのときだった。
「あれ。みんな集まってどうしたのさ?」
食堂の入り口からひょっこりとキラが入ってきた。
「めずらしいな。このメンバーが勢ぞろいっていうのも。」
ものめずらしそうに目を丸くしながら、キラに続いてアスランも食堂へと入ってくる。
一瞬、そこにいた全員の目がキラとアスランに注がれた。
「ぶっ・・・・!」
ムウが噴出すと、もうさすがにこらえきれなかったのだろう、
「「「「「 あはははははははは!!!! 」」」」」
五人は一斉に笑い出す。はラクスと顔を見合わせるとキラたちに向かってにこにこと笑う。
「なんで僕とアスランの顔を見るなり笑うわけ!?」
いきなり笑われたことと、なにがなんだかわからないせいだろう。キラがむっとした顔を向ける。
アスランはというと、あっけにとられてぽかんとこちらを見ていた。
「キラ。今にアルバムを見せてもらってましたの。ほらこれですわ。」
みながお腹を抱えて笑っているのを尻目に、にこにこと笑顔を浮かべたラクスが、
二人に近づいてきて例の写真が載ったページを開いたままキラへと渡す。
キラとアスランはなぜか嫌な予感を感じながら、おそるおそるアルバムに目をやる。
・・・・・・沈黙。
キラとアスランの額に冷や汗がだらだらと流れる。そして慌ててのところに向かった。
「!!なんでこんなの君のアルバムにあるの!」
「そうだ!わざわざ君のアルバムに入れなくても!」
予感的中!
案の定、そこにはキラとアスランが一番見られたくない写真が貼ってあった。
その写真はキラとアスランの母親が面白がって写したものだ。
キラとアスランに髪をゆってわざわざ
の服を借り彼らに着せて撮ったものだった。
「だって、可愛かったんだものv」
慌てて自分に詰め寄る二人に、はにっこりと嬉しそうに笑って言った。
にこにこと本当に嬉しそうに無邪気に笑うにこれ以上なにも言うことができず、二人はがっくりと脱力する。
この光景に、ひーひーと涙を浮かべ笑っていた4人と三人のやりとりを微笑ましく?見ていたラクスは、
キラとアスランは絶対ににはかなわないのだろうと
再認識したのだった。
言い訳という名のあとがき
初めはオールキャラで書きたかったため書いてみたのですが、
なんかマジでヘボドリーム・・・。
というか、ドリームって言えるのかこれ(泣)。
こんなんですが楽しんでいただけると嬉しいです。